土曜日はイベントで出勤だった(バザーの売り子をやった)。今日は振休をとったがここまでの時間は通信のレポート課題で終了。2ヶ月に一度やってくる月末の〆切。17時リミット。午前中にラスト1本を書き、4本なんとか提出できた。毎回性別二元論について書いている気がする。それでよいことにする。
ソーシャルワークの過程のうち、アセスメントの意義、目的、方法、留意点について述べなさい。
ソーシャルワークにおける「社会変革」⑴の視点の重要性はどんなに強調してもしすぎることはない。それはアセスメントにおいても同様である。「個人が抱える生活課題の背景には、それを生じさせる関係的、社会的、地域的、環境的、構造的な要因が必ずあるという認識」⑵が求められるからである。本論では社会変革をキーワードとしてアセスメントについて述べてみたい。
ソーシャルワークの過程において、アセスメントはインテークとプランニングの間に位置づけられる。「主訴の背景にある本質的課題を詳細に把握」し、「クライエントの個別支援計画の策定」の手立てとすること⑶。これがアセスメントの目的である。しかしながら、個人の支援であっても社会環境の視点は欠かせない。そこでソーシャルワーカーは「状況の中の人」という認識やBPSモデル、システム理論、生態学的視点に立って情報収集することが求められる。またその際、ウィークネスだけでなく「ストレングス(強み、良さ、魅力、可能性)に対する気づきも重要である」⑷。「課題や問題を解決するのはあくまでその本人や家族であり、地域住民」⑸であり、「ソーシャルワーカーに求められるのは、その人が自らの生活の主体として、その人生の主人公として生き続けることを支えること」⑹だからである。直接的な支援が終わった後でも、クライエントの生活は続いていく。そのため「アセスメントは継続的に実施される」⑺必要がある。
こうした多角的な視点によるアセスメントを支えるのが、ジェノグラムやエコマップなどのマッピングの技法である。ジェノグラムは「3世代以上の家族間の人間関係を図式化」であり、エコマップは家族のほか「関係者や関係機関、また地域の社会資源等」も含めて図式化したものである⑻。こうした技法を活用することで、課題を明確化でき、支援者とクライエント間や支援者同士で共有することもできる。しかしながら、このような技法に内在する近代家族の規範や性別二元論には留意すべきだろう。例えばジェノグラムにおいては「男性は左、女性は右に書くのが基本」⑼である。しかし関係人物がノンバイナリーである場合は、別の書き方が求められる。横山登志子は「ソーシャルワークそのものが近代社会の産物であり[中略]家族規範、ジェンダー規範と分かちがたい」と指摘し、「ジェンダー・センシティブ」な実践を行うことを提案している⑽。社会変革を掲げる以上、ソーシャルワークにはつねにすでに人権と社会正義に基づいたアプローチが求められる。であればこそ、アセスメントの方法論そのものも柔軟に変化させて然るべきだろう。「社会変革に向けた社会構造的な課題に対する働きかけは、[中略]アセスメントに基づいて導かれる」⑾のだから。
【引用文献】
⑴日本ソーシャルワーク教育学校連盟編『最新 社会福祉士養成講座 精神保健福祉士養成講座 11 ソーシャルワークの基盤と専門職[共通・社会専門]』中央法規出版、2021年、55頁。
⑵日本ソーシャルワーク教育学校連盟編『最新 社会福祉士養成講座 精神保健福祉士養成講座 11 ソーシャルワークの理論と方法[共通科目]』中央法規出版、2021年、63頁。
⑶奥村賢一「援助論としてのソーシャルワーク」横山登志子編著『社会福祉実践とは何か』放送大学教育振興会、2022年、74-75頁。
⑷前掲⑵、66頁。
⑸同上、67頁。
⑹同上、62頁。
⑺同上、73頁。
⑻同上、69頁。
⑼同上、70頁。
⑽横山登志子「ソーシャルワークとジェンダー・センシティビティ~アセスメントで留意すること~」横山登志子編著『社会福祉実践とは何か』放送大学教育振興会、2022年、275頁。
⑾前掲⑵、74頁。
【参考文献】
⑴周司あきら・高井ゆと里『トランスジェンダー入門』集英社、2023年。
⑵宮﨑理「"LGBT”とソーシャルワークをめぐるポリティクス」横山登志子・須藤八千代・大嶋栄子編著『ジェンダーからソーシャルワークを問う』ヘウレーカ、2020年。