2024-05-11

 先日、渋谷のうどん屋でうどんを食べていたら、隣の隣の席あたりに、天井から人のこぶし大ほどの大きさのほこりがぼそっと降ってきた。あまりの大きさにギョッとしたが、幸いその席にはだれも座っていなかった。その席の真上は換気扇がついていて、換気扇ってほら、結構隙間にほこりがたまりがちでしょう? 大きな商業施設の中に入っているうどん屋だが、天井の高いところに設置された業務用の大きな換気扇にまでは掃除が行き届いてなかったのだと思われる。自分の席じゃなくてよかった、と思ったがその後はほとんど味がせず、ささっと店を出た。

 小学生のころ、通学中に突然目の前に鳥のフンが落ちてきたことがあった。うどん屋のほこりを見てそのことを思い出した。危なかったー、と思ってそれ以来、電線にとまるカラスやハトを避けて歩くようになったのだった。今もそうしている。加えて、地面をよく見るとフンの跡がたくさん付いているところがあるので、そういうところでむやみに立ち止まらないようにもしている。街路樹の下なんかはかなり危険な場所だとわかる。あと、もしもフンが当たったときのシミュレーションもよくしている。出勤中に当たったらやっぱり家に戻って着替えなきゃならないだろうな、とか、頭に当たったらシャワー浴びなきゃいけないだろうな、とか、そのまま電車に乗るの嫌すぎるな、とか。全国的にみれば、たぶん結構な数の人が鳥のフンに当たったことがあるんじゃないかと思う。完全に推測だが、1日にひとりふたりくらいは鳥のフンに当たっているのではなかろうか。その人たちは、その後いったいどうしたのだろう。なかなか話題に上がらないせいか、鳥のフンが当たった、もしくは鳥のフンに当たっている人を見た、などの話を人から聞いたことがない。明日からいろんな人に聞いてみようかな。「すみません、あなたは鳥のフンに当たったことがありますか?」

 なお、鳥のフンに当たると、その後少なくとも1年は歩くときに首を前後に振らなければならなくなると言われている。デヴィッド・バーンはライブの前には必ず鳥のフンに当たることを目指して散歩するのだとラジオで語っていた。ライブでうまくダンスするための欠かせないルーティンだそうだ。この段落の内容はすべて嘘です。