ぽちぽち軒

カツカレーのカツにはソースをかける派です

2024-05-13

 昨年、閉じたときに濡れる部分が内側にくるタイプの傘を買った。ズボンや床が濡れなくて便利だと思ったのだが、閉じると先端のほうが太くなるので間口の狭い一般的な傘立てにさすことができず、全然使っていない。みんなも気をつけよう!!!!!!!!!!!

 さて、今はそうでもなくなってしまったが、子どものころは雨の日が好きだった。外で遊ばなくてよかったからだ。晴れているのに外に出ないと先生から叱咤されたが、雨だと構うことなく中にいることができた。雨は誰にも平等に降るから、雨の前ではみんな平等だった。

 雨の日が好きだなと感じた最初の記憶は幼稚園のころ。2階の教室の大きなガラス窓。雨で曇ったその窓に指で絵を描くのが好きだった。ドラえもんとか星のカービィとか、そのとき好きだったものをたくさん描いた。当時のわたしは漫画家になりたかったのだな。絵の練習は全然しなかったけど、A4用紙をホチキス留めしてコロコロコミック風の表紙を付けた本(本とは言えないか、本100歩手前みたいなやつ)をたくさん作っていた。まずホチキス留めして冊子の状態にしてから、中身の用紙にコマを割って絵を描いていく。あらかじめページ数が限られているので、調整しやすい4コマ漫画ばかり描いていた。

 それから小学校にあがり、高学年くらいになってもやっぱり外遊びは嫌いだった。20分休みや昼休みに教室に残っていると、外に出ていないことが先生にバレてしまうから、屋上につづくつ階段の踊り場に行って本を読んでいた。

 そのときよく読んでいたのは生田與克『日本一うまい魚の食べ方』(中経出版、2005年)。当時のわたしは「魚料理人」になりたかったのだった(魚料理人ってなんだ?)。アジやイワシをスーパーで買ってきてもらって家で捌いていた。でもうまくできずにぐちゃぐちゃになってしまうので、だいたいはなめろう、もしくはつみれになった。

 なお、著者の生田はマグロの卸売なのだが後年ネトウヨ系の論客……いや、論客というよりは老害ジジイ化していて(当時からそうだったのかもしれないが)、自民党平将明木原誠二と親交がある。今も自身のYouTubeチャンネルに右翼の政治家たちを招いているようだ。10代も後半になって生田がネトウヨになっていたと知ったときには自分のアイデンティティの一部が傷つけられた気持ちになったのだが、小学生のころ読んでいたその本は、文章がめっぽうおもしろかった。べらんめえ調の話し言葉の文体で、魚の蘊蓄や築地市場の粋な小話が書かれており、こういうふうに書いてみたいと思わせる書き手だった。それが右翼ジジイになっちまうなんてなあ。つくづく世知辛いものですな、トホホ。

 何の話をしていたんだっけ。仕事が忙しくて1日が終わるのがとても早い。家に帰って湯煎の中華丼とみそ汁を食べる。やりたくないことばかりやっている。ギョエーーーーー。