22歳で真性包茎の手術をしたときの話①

 22歳の夏休み、真性包茎の手術をすることにした。この文章は、真性包茎の手術を考えている人に届くといいなと思って書くことにした。自分が手術を受けた当時は本人の体験談などの情報がほとんどなく、めちゃめちゃ不安だった。手術時と術後の生々しい痛みも書くことになるので、苦手な方は閲覧注意。

 

・決意〜病院への電話

 手術をすることにしたのは、パートナーのすすめがきっかけだった。自分が真性包茎であることは認識していたのだが、手術するとなると費用がかかるし、当時は実家ぐらしだったので親にも言わなきゃいけないだろうし、ということで、いつかはしなきゃいけないと思っていたが億劫でずっと先延ばしにしていたのだった。

 パートナーに打ち明けると、「こっちはピル飲まないといけない体で定期的に何万円もかかるのに、手術1回きりで保険適用で自己負担3万円くらいで済むんだからやるなら早めにやったほうがいいに決まっている、そんなことでいちいち悩むな!!」と説教され、手術を決意。次の日、手術が受けられる場所を調べてさっそく電話することにした。

 手術は病院かクリニックのどちらかで受けることができた。病院だと保険適用が確実で安く、クリニックだと費用は高額だが保険適用外のオプションとして形の整形なども付けられることがわかった。わたしの場合は徒歩20分くらいの距離に大学病院があり、そこが包茎手術もできるとホームページに書いてあったので、病院で手術を受けることにした。

 リプロダクションセンターというところが管轄らしい、という調べがついたので勇気を振り絞って電話する。

「あ、包茎手術ですね。いまは泌尿器科が管轄なんですよね〜。お電話回しましょうか?」

「ああ、いいですいいです! 失礼します!!」

と言って慌てて電話を切る。ああ〜恥ずかしい。めっちゃ調べたのに。このときのショックは今も覚えている。気を取り直して泌尿器科に電話。すると、「初診ですか? でしたら予約不要なのでふつうに来院してもらえればいいですよ」とのことだった。拍子抜け。なんのために間違い電話までしてこんなことを……と思ったが、とりあえずそのまま病院へ行くことにした。

 

・初診

 大学病院に着く。泌尿器科の窓口で、真性包茎の手術の相談に来たことを告げると、こういうお客さんは珍しかったのか、受付の看護師さんはちょっと驚いた様子を見せたが、席で待っていてほしいと言われた。平日午前中の泌尿器科は高齢者でいっぱいで、明らかに自分だけが浮いていた。30分ほど待ち、名前を呼ばれて診察室に入る。

 先生は40歳くらいの茶髪のパーマヘアの人だった。そしてまだ席にもつかないうちに「じゃあ早速診ましょう! もう、ボローンと出しちゃってください。あ、立ったままでいいですよ」と言った。完全に笑っているじゃないか。こっちは勇気出してきたのに失礼な……と思いながらも、とりあえず言われたとおりにする。触られ、本当に剥けないか確認される。

「はい、確かに。しまっていいですよ」

 着席し、カルテの作成に移る。

「症状はいつごろからですか?」

「いや、いつからも何も、産まれたころからですよね。気づいたのは13、4歳のころかな」

「あははは。そうですよね」

この先生、相当失礼である。

「でも、どうして来ようと思ったんですか? 22年間そのままだったのに」

「いやま、人に話したら、手術したほうがいいって言われたから。守るものでもないしな、と思って」
「そうですか。じゃあ手術、しましょうか。今日はこの後、手術にあたっていろいろ検査を受けてもらいます。手術を受けるにはには健康じゃないといけませんから」
「あの、先生、これって保険効くんですよね」
「適用されます。気になりますよねえ。仮性包茎だと効かないんです。〇〇さんみたいなのは……なんていうんだろう、あははは(笑)」
「大丈夫ってことですね」
「そうです。病気ですので。ご安心ください」

 診察室を出ると、全身の検査に案内された。「症状」には全然の関係ない肺や心臓の検査、また採血など、文字通り手術するための全身の検査である。ひととおり終え、疲れ果てて帰路についた。

 

・親への告白

 さて、手術を受けるとなると、その後は安静にしなきゃいけないから、黙っていても親にはバレてしまう。だから今ここで話しておかないといけないが、ふだんから性に関する話をしているわけではないので、なんて言ったらいいのかわからない。そもそも言いたくない。実家なんてさっさと出ていればよかった……。

 色々考えて、ベストなタイミングはここだと思い、就寝前の母に話しかけた。

「実は言わなきゃいけないことがあって」

「えっ何」

包茎ってわかる? 自分、真性包茎で、保険適用なんだけど、手術しなくちゃいけなくて。いつかしないといけないと思ってたんだけど」

「なんだ、結婚するか妊娠させたかと思った。あー、びっくりした」

「はあ……ま、そういうわけで今日病院行ってきたんだけど、今月末くらいには手術するから。おやすみ」

 とりあえずすんなり話は通ったが、結婚とか妊娠とかいちいち言う母にはあきれてしまった。

 翌朝、父に突然、「ずっと不安な気持ちにさせてごめん。子どものときにちゃんと見てなかったから。申し訳ない」と謝られた。母が話したのだろう。たしかに人によっては子どもにムキムキ体操をさせたりするらしいので、親の教育不足というのもあるのかもしれないが、まさか謝られるとは思っていなかったので、ちょっとウケた。兄は「手術するんでしょ!? 痛そ〜」とだけ言った。

 

〜②につづく〜