2024-06-09

 自宅に着く頃、ちょうど神輿が家の前を通りかかった。この土日はこのあたりで一番大きなお祭りがやっている。せっかくなので家に入らず、通り過ぎるのを待つことにした。「えいさ、ほいさ!」という声の掛け合いと、太鼓や笛の音があたりいったいを賑やかす。神輿の後ろには、ベビーカーを押す家族連れや高齢の夫婦と思われる人々が、神輿の後を追いながらぞろぞろと歩いている。

 向かいのアパートの1階の窓がガラガラと開き、中から若いふたりが顔を覗かせた。祭囃子が聞こえてきて、窓を開けたのだろう。ふたりともTシャツに半パンのラフな格好で、同棲中のカップルのように見えた。笑って何かを話しながら、神輿が通り過ぎるのを楽しそうに眺めていた。肩を並べて通り過ぎていく神輿を眺めるふたりのその姿は、なんだか映画のワンシーンのようで、とても眩しかった。